「シモキタの道路計画ってなに？」―― わかりやすく語られる背景と問題点
女優・渡辺えり子さんが庶民の目線で訊く！「いま下北沢ってど〜なってるのっつ！？」
渡辺 ： 計画はもう決定してしまったんですか？
金子 ： はい、あとはどう工事が進んでいくのかということと、それを見直すような時間があるかが重要です。
渡辺 ： それは地元の人も賛成したので決定してしまったんですか？
金子 ： 僕たちは反対してがんばってきたんですけど、賛成者もいます。
渡辺 ： その賛成者っていうのは得だから賛成してるわけですよね。その得なところはどういう部分なんですか？今の説明をきくとゾッとするんですけど。
金子 ： いろんな考え方あると思うんですが、すごい汚い言い方するとカネかなっていう話です、単純に言うと。地権者で自分の土地にどれくらいのビルが建てられるんだろう、どれくらい家賃収入があるんだろうってことだけを純粋に考えたときに、ビルを建てることによって収入の増える人っていうのは確実にいるわけです。ただ、そういう人たちばかりが賛成してこの計画が進められたのかというと、じつはそうではないと思います。商店街の人たちの話を聞いていると、下北沢の街を良くしたいから反対するという声も上がっているんです。行政が思っている対象者というのは地権者や商店街の人たちであって、そういう商店街に入っていない人たちは声を聞く対象者として認められていないんです。
渡辺 ： ということは計画がわからなかったという人が多かったということですか。
大木 ： 行政が相手にしなかった人たちは、つまり下北沢の大多数の人たちなんです。
原田 ： 54号線の道路計画は下北沢周辺を第一期工区として二期工区、三期工区と分断されて、我々（二期工事地権者）には説明が何もなかったんですよ。だから賛成も反対もないんですよ。最初に一期工区だけをやっちゃえば、あとは既成事実化されて一気にできるぞっていう、まあ、行政側のひじょうに汚いやり方ですね。
渡辺 ： それは誰なんですか。その ･ ･ ･ ･（場内笑い）名前っていうか、そのやった人っていうのは。
原田 ： 誰っていうか ･ ･ ･ ･。
金子 ： 熊本さんていう区長の方が ･ ･ ･ ･。
渡辺 ： 区長が！？
金子 ： 要するに商店街の人たちに、自分は賛成します、って書かれた紙を配ってこれにサインしろって配布したんですよ。で商店街のおばちゃんとかって、回ってくると、「私ももう長いつきあいだから断れないのよ」って言って書いちゃえって。「でもあなたたちのやってることもよく分かるからあなたたちの運動にも賛成するわ」って（場内笑い）、両方書いてくれたおばちゃんがいたりして、ほんとそういう状態の中で話が進んだんですね。
渡辺 ： だけどせっかくシモキタって、空襲にやられなくて、つまり自然発生的にというか庶民が選んだように道ができ、街ができ、劇場もたくさんあって、お年寄りも若い人たちも一緒に生活してるという、東京都の中でも老若男女がバランス良くうごめいているっていうとおかしいですけど、生活している、良いバランスの街で他の区から見ても、モデル地区みたいに思ってたんですけど、それがけっきょくそうじゃなくて同じような街になってしまう。こんなに高い、ブレードランナーみたいなビルが建つってことでしょ？ 下に汚いものがあって、押し入れの中に汚いものを入れて表面だけきれいにする、みたいになっちゃうわけでしょ？
金子 ： もうちょっときれいじゃないかと ･ ･ ･ ･。
渡辺 ： （笑）なんかほんとにイヤなイメージなんですけどね。
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