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シモキタボイス シンポジウムの記録

【Symposium1】 8月13日(月)16:30-18:00

「下北沢で、運動を語る」――「再開発反対」のいま

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会場から

男性 : セイブのフライヤーの未来図を見ると、ビルがたくさん建っています。一棟あたり200億で売れるとすると、5つで1000億。実際に動く金はそれ以上です。大手の不動産屋がからんでそんなに大きなお金が動く中で、何が出来るのだろうか?これって、温度差なんてものじゃないですよね。勝てるわけなくて、勝ったらすごいな、と思ってしまいます。

仲俣 : 土地の実勢価格と潜在的な価値の差が大きい街は、株と同じで投機の対象となって企業に狙われる。今の下北沢は完全にそうだと思う。「もっと儲かるはずだからここにマンションを建てよう」という人たちとダイレクトに戦ったら敵わないけれど、そんな中で自分たちが好き勝手なことをやる方法はないかな、と思う。

曽我部 : 俺は、勝手にやっていくということが本当に大事だと思う。何が起こっているかという事態を知っているけれど、それでも「自由にやっているよ」と言えることが重要です。

鈴木 : 渋谷の松涛に出来る馬鹿でかいマンションの億単位の部屋が、現物が出来る前から投機目的で完売している、というような東京の状況が全体としてある。そんな中で、下北沢で開発の全体図が見えていないのは、実はいいことなのかもしれない、と僕は思う。先行投資でぼんぼん売れる時代だから、「下北沢にマンションが出来るのなら8000万で買いますよ」という人が確実にいる。なのに出していないということは、もしかすると、売れるかどうかまだわかっていないのかもしれないですよね。行政もよくわかっていなくて、とりあえず事なかれ主義で道路を通すことにしたんだけれど、資本はまだついてきていないのではないかと思います。

◆司会者の感想

2006年の事業認可まで、下北沢の運動はデモや行政説明会、区長との面談など、いわゆる「べたな政治運動」を経験してきました。2007年現在、そういった直接行動は小康状態にあるのですが、当時「べたな政治運動」の現場にいあわせた人々にとって、行政の権力の持つ圧倒的な力はまだ鮮やかな記憶として残っています。でも、一方で下北沢の運動は、下北沢から遠く離れたところに住んでいるひとりひとりが家でインターネットを開けばできる運動であったし、またそういう人たちが学校に行って友達に話すことで広がってきた運動であり続けてきました。このことは、実は運動の現場近くにいた私がずっと気づかなかったことで、今回のシンポでわかった一番大きな発見でした。

今、下北沢の街では行政が道路予定地の地権者に対して買収交渉を行っています。またペンシルビルの建設ラッシュも少しずつ始まっています。行政の動きは事業認可以前よりも個別的ですし、ビル建設もひとりひとりの地権者の決断によって決まるものなので、向こう側の動向ははるかに見えにくいものになってきています。こういった状況の中で、大げさなイデオロギーを語るのではなく、さりげない形で「権力」の所在を語る方法ってどんなものなんだろう?このことは今も私の心の中に引っかかっています。

今回のシンポジウムは、三日間を通して行われたすべてのシンポジウムの中で、パネリスト同士の見解の違いがもっとも明瞭なものでした。それは、パネリストの方々が、自分の立ち位置をはっきりさせて、そこから見えるものを語ってくださったからだと思います。われながら、最高の人選だったと自負しています。最後に、心もとない司会者をあたたかく支えてくださったパネリストのみなさん、また暑い中ご来場くださって熱心に耳を傾けてくださったみなさん、本当にどうもありがとうございました!

(久山)

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