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シモキタボイス シンポジウムの記録

【Symposium1】 8月13日(月)16:30-18:00

「下北沢で、運動を語る」――「再開発反対」のいま

●パネリスト
鈴木謙介 : 1976年生まれ。社会学者。著書に『ウェブ社会の思想―〈遍在する私〉をどう生きるか』など。TBS「文化系トークラジオ Life」のメインパーソナリティ。
曽我部恵一 : 1971年生まれ。シンガーソングライター、rose records主宰。「Sound of Shimokitazawa」などで、ミュージシャンの運動を牽引。
仲俣暁生 : 1964年生まれ。フリー編集者/文筆家。著書に『「鍵のかかった部屋」をいかに解体するか』など。自身のホームページや雑誌などで、再開発問題について繰り返し言及してきた。
山崎千鶴子 : 30年以上の歴史があるロック・バー『Mother』オーナー。地元商業者の運動「下北沢商業者協議会」の世話人。
●司会者
久山めぐみ : 1982年生まれ。東京大学学際情報学府・修士課程。「下北沢商業者協議会」事務局。
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趣旨

会場風景

久山 : 私は「セイブ・ザ・下北沢」にこの三年間かかわってきましたが、様々なメディアによる報道と、運動の実態とがどうも違うと思っていました。そこで、自分の言葉でリアリティを伝えたいと思うが、なかなかうまく言葉に出来ませんでした。だから、今日は運動といろいろな関係を持っている方に集まっていただいて、運動について語る機会を持とうと思いました。また、昨年事業認可がおり、「セイブ・ザ・下北沢」は明確な方針が出ないまま止まっているという状況があるように感じています。この状況をどうすればいいのか?についても考えたいです。

「部外者」とは絶対に言われたくない

久山 : 下北沢の運動は、「部外者がさわいでいるだけ」と批判されることがよくありました。

山崎 : 下北沢は昔から住民や商業者だけの街ではなく、外からいろんな人が来る街。だから、「部外者」というものがいるのではなく、もともとみんなが作ってきた街なのよ。

鈴木 : そのときの「みんな」が誰なのか、が問題では?街はゆっくり変わっていくもの。だから、この街をいつから知っているかによって「みんな」の中身も違ってきますよね。

会場風景

仲俣 : 僕がこの街に来はじめたのは20年くらい前で、その頃から喫茶店の「いーはとーぼ」などによく行っていました。いまは近所に住んでいますが、その頃は別の街に住んでいて、好きな店があるから来ていた。そういう人のことを「部外者」とは絶対言われたくない。それに、今回再開発が行われるのは商業地です。そこに店をかまえる人たちは、地権者ではなくてテナントがほとんど。朝、家を出て仕事に行く時間に、知っている店の人が下北沢の駅から降りてくるのとかを見ると、「ああ、いいな」と思います。テナントやお客さんを「部外者」だという批判はまったく当たっていない。逆に、地元の人だけでやっている反対運動だったら、ここまでの説得力をもてなかったのではないか。

久山 : 難しいのは、そうは言っても地権者の権利が圧倒的に強いことです。お店の方は、何十年店をやっていても借家人でしかありません。だから、地権者が「出て行け」と言ったら出て行かざるを得なくなる状況もあります。運動をやる上で、地権者を落とさなければどうにもならない面もあるんです。

仲俣 : 今日のメンバーの中で明確に運動をやっているのは、セイブの久山さんと商業者協議会の山崎さんですね。曽我部さんは自分では「運動」をやっていると思っていますか?

曽我部 : どうなんですかねー。自分にとっては、運動だと思いますけれど。一つのことにこだわって、自分の意見を言い続けていくことが運動だと思うし、ずっと続けたいと思います。

仲俣 : 今日はとても多くの人がシンポジウムを聴きに来ていますが、さっきのシンポでは、下北沢の外から来た人が8割、9割くらいでした。その中には、運動にどうしたら協力できるのか、自分との接点を探しに来た人が多いのではないか。

会場風景

鈴木 : 行政が考えている「みんな」は、権利を持っている人や土地を持っている人など、法律の範囲内の話になりますよね。その外のほうにいる「みんな」まで含めて運動をやっていきましょうよ、というときに「部外者がやっているだけ感がある」という批判とか、「俺はちょっと入れないな」という人がいたりする。法律の外の「みんな」にも勝手に線が出来てしまっていて、これをどうやってぶっこわしたらいいのか、という話をした方がいいのではないかと思う。

久山 : 私は「自分が運動をやっている」と思う人の数がもっと多ければいいと思っています。運動をずっとやっている人に、応答責任のようなものが発生してしまっている気がします。

鈴木 : その場合の運動とは、具体的に何かをするというよりは苦労を引き受けるということだよね。でも、そうすると、みんなに苦労を引き受けてほしいという話にならないだろうか。

仲俣 : セイブはいちばん最初に問題点を整理したし、対案も出したわけで、その点ではとても正しかった。もしセイブがなかったらこの問題を多くの人が知るのにもっと時間がかかったと思います。だけど、下北沢の街が変わるとき、その当事者はセイブだけではない。セイブという市民運動にかかわらなくても、一人ひとりができる運動はあるはず。個人として「ここまでだったらできる」ということをすればいいと思うんです。

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