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シモキタボイス シンポジウムの記録

【Symposium3】 8月14日(火)14:00-15:30

「演劇は下北沢に何をのぞむのか?」――演劇界におけるザ・スズナリ喪失の意味

●パネリスト
柄本明 (俳優)
ケラリーノ・サンドロヴィッチ (「ナイロン100℃」主宰)
坂手洋二 (「燐光群」主宰・「日本劇作家協会」会長)
下平憲治 (「Save the 下北沢」共同代表)
本多一夫 (「本多劇場グループ」代表)
宮沢章夫 (「遊園地再生事業団」主宰)
流山児祥 (「流山児★事務所」主宰・演出家・「日本演出者協会」副理事長)
野田治彦 (「ザ・スズナリ」舞台部)
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「スズナリがなくなるのはとりあえずいやだ」

会場風景

野田 : 『演劇の街』と言われていますが、これだけ著名な方々が一同に介するのは初めてです。下北沢の問題をお知りになったのはいつごろでどのような感想を持たれたでしょう。

ケラ : 未だに詳しいことは知らないんです。こうゆう問題ってきっと細かく探っていけば、一概に『開発がいい』とか『悪い』とか難しい問題になっちゃうと思う。でも僕は、今日は『スズナリがなくなるというのがいや』という気持ちだけで『詳しいことはよくわかんないけどとりあえずいや』っていう気持ちです。スズナリで最初にやらしてもらったのが10数年前です。嬉しくて嬉しくて、ここの楽屋に初日入った時の喜びっていうのは忘れられない。雨漏りはするし、カラオケは聞こえてくる状態ではすでにあったんですけれど。

流山児 : 聞いたのは三年くらい前。噂話としてずっと聞いてたんですけど、本当なんだなというのが最近です。劇場が再開発って形でつぶれる最初のケースですよね。でも、今回はひょっとしたら『残したい』という運動はやれるなって感じです。果たしてどういうやり方があるのか、具体的に考えなきゃいけないって思っています。

「芝居だけは勝ち負けねぇだろ」

野田 : 今回のシンポジウムは、『演劇は下北沢に何を望むのか』というタイトルです。僕は再開発見直しを求める活動に携わっていまして『演劇界の方に聞きたいことがある』ということを度々耳にしました。『道路がスズナリをかわして通るということがあった場合に、だったらいいのかどうか』です。下北沢は半ば歩行者天国の街並みになっています。車が遠慮がちに通る街ですし。高さが三階建ての建物が圧倒的に多いし、劇場街でもあります。幹線道路がスズナリをかわして通った場合に、あんまり気になさらない立場でいらっしゃるか、それとも作品に影響が出るのでしょうか。

坂手 : 下北沢も80年に『スーパーマーケット』ができるまでは、劇場はなかった。ここ28年くらいの間に演劇の街になっていった。ニューヨークのイーストヴィレッジみたいにぶらぶら歩ける街の中に劇場があることは他のところにはあまりない。スズナリという劇場を持ってる街自体が僕らを許容してくれてるっていうのが当然あります。

流山児 : 渋谷は巨大な資本が持っている劇場。本多さんが巨大じゃないってことじゃなくて(笑)、すごくプライベートな劇場街なわけですよ。そうゆう場所がなくなっていくとやばいな。でかいところの方がきれいだけど、ここは金なくても何となく借りられる。『貧乏だけど芝居がやりたい』っていう連中に保障されてる。それがなくなっていくと勝ち組だけがいろんなものを所有して、負け組みはどうなるのよ。芝居だけは勝ち負けねぇだろ。

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