トップイメージ
     
   

シモキタボイス シンポジウムの記録

【Symposium1】 8月13日(月)16:30-18:00

「下北沢で、運動を語る」――「再開発反対」のいま

Next
1 2 3 4 5 6
Next

生きていることそのものが運動?

仲俣 : 街でお店をやっていくのも運動のひとつじゃないかと思うんです。曽我部さんが下北沢でお店を始めた経緯を聞きたいな。

曽我部 : レコード屋と飲み屋が一緒になったものをやりたい、と前々から言っていたら、とあるレコード屋の友達がレコード屋を辞めてしまっていたんです(笑)。だからしょうがなく、場所を探し始めました。でもやる場所は下北沢だと決めていました。下北沢だから、お店をやろうと思ったのかもしれないです。

仲俣 : それは、SOSの活動とはとくに関係なかった?

会場風景

曽我部 : 関係なかったけれど、僕にとっては同じこと。下北沢で生活をしていて、生活に根ざした表現をするのが基本だから。だから下北沢でお店をやるし、レコードレーベルをやっている。

鈴木 : これまでなんとなく使ってきた「運動」って言葉について、そろそろ定義をしなければいけないですね。「運動」には三つくらい水準があるんじゃないかと思います。一つ目が、いわゆるべたな政治運動、二つ目がセイブや高円寺の「素人の乱」など、もうちょっと楽しくやろうぜ、というものだが政治と対決している運動、三つ目が今仲俣さんがおっしゃったような、「店をやること」のようなもの。つまり、生きていることそのものが運動だって考えたときに、「それで何が出来る、何をする」って考えられるんじゃないかな。「事業認可が通っちゃって…」って落ち込んでいてもしょうがないからさ。

仲俣 : いま僕が下北沢に住んでいる理由は、お金がないときに、徒歩で行ける範囲内に古本屋とか中古CD屋があると便利だからなんです。街と店とは切り離せない。

鈴木 : 曽我部さんが音楽をやってCDを売って、というときに、音楽で表現するミュージシャンが「生きる」うえで、下北沢はどういう街なんですか。この街にたくさんいるようなアマチュアのミュージシャンは、生きるのに必死ですよね。

曽我部 : 僕は今も小さいライブハウスでライブをやるから、武道館とかでしかやらないというふうなミュージシャンではないです(笑)。だから今も下北沢は、リアルな生活の場所です。下北沢で、お世話になっているライブハウスがなくなっては困ります。

鈴木 : 例えば、一揆では誰も殿様を倒そうとは思っていなくて、単に「俺の米をよこせ」と言っているだけです。でも全体で見たら、殿様が「一揆が起きたからとりあえず米出しとけ」って考えるみたいに、政治として向こうが捉える。そういうものとして一個一個編み上げていけないかなあって思う。

仲俣 : セイブは世田谷区に対して何度かデモをやっていたけれど、僕はあまりいいやり方だと思えなかったんです。むしろ去年やった「キャンドルライトデモ」の方がずっとデモっぽかった。今の下北沢にたくさん人が来ることが、最大の反対運動だと思う。あの日、大勢の人がロウソクを持って道に溢れていたら、誰もが「なんじゃこりゃ」と思ったはず。その感じがデモなんじゃないか。そう考えると、いまの下北沢のお店に来ることだって、運動へのコミットの仕方のはず。

鈴木 : 消費しに来ることも運動ってことですよね。俺も来たら必ず寄る古本屋があるけれど、「ここに行きたい」というものをどんどん増やしていってブランド化するように人を集めていくことが必要ではないかな。

仲俣 : 大木さん(Lady Janeオーナー)が最初のシンポジウムで「下北沢は再開発があることもあって地価がどんどんあがっている。でもそれは誰のおかげか。下北沢でお店を頑張ってやっている人と、買いに来る人だ。地権者が濡れ手に泡で、土地を売って儲けてもいいのか」って言ってたけど、そのとおりです。

曽我部 : でも、地権者が鍵をにぎっているのは確かだから、地権者が意識的にならない以上、駄目なんではないかと思いますけど。

仲俣 : 具体的な話をすると、第一期の工事はすでに認可がおりたけど、工事が完了するまでには10年くらいかかる。1、2年のうちに六本木ヒルズみたいになるわけではなくて、変わっていく街で今から何が出来るか、ということになってくる。誰も下北沢に遊びに来なくなったら、再開発のペースが速まるだけ。何があっても街に来続けて、再開発の経過を見続けて、店がなくなったら、おおげさにびっくりしたりしたほうがいい。

鈴木 : 逆に、すごくつまんなくなっていったら「来ない」というのもアリじゃない?街は生き物だから、もちろん道路はいやだけど、変わっていくときにその変わる向きがどっち向きなのかが重要だよね。

Next
1 2 3 4 5 6
Next
pageTop
 

 

cCopyright 2007 下北沢商業者協議会 All Rights Reserved.

 
SHIMOKITA VOICEお問い合わせプログラム写真展ライブシンポジウム開催趣旨HOME